天然系少女 15
― 天然系少女 その15 ―
<怪我の功名>
ゆいマーレでは、船上ランチ時に圧力鍋を使用しています。
しっかりと蓋が閉まるので航行してもそば出汁がこぼれないからです。
しかし、毎回のように天然さんは鍋を火に掛け過ぎ、
圧を掛ける状態まで熱してしまうのです。
こうなると、圧を抜くしか蓋が開けれないので
圧を抜くと白い蒸気と共に船上はそば出汁の匂いで充満します。
今日もいつものそんなシーンでした。
鍋 『ブシューーーーー』
めだか 『なんでいつもこんな状態まで火を掛けるの?』
あき 『・・・・・・・・・・・・いや、分からないです。』
めだか 『いやいやいや・・・なんか理由があるからこうなってしまうんでしょ?』
あき 『多分忘れてしまうんです。』
僕は心の中でこう呟いてしまいました。
めだか 『多分じゃなく、忘れてるだけ。危ないやんけ。』
しかし、こういってしまったら身も蓋もありません。
めだか 『お客さんに待たせなくないのは分かるけど、
圧を抜いたりする時間を考えると余計時間が掛るから、弱めにしよう』
あき 『はい、気をつけます』
さて、いつもはこれで終わりなのですが、今日は違いました。
最近、そばの具を増やして<たらし揚げ>という
八重山のかまぼこを入れています。
鍋の蓋を開けると<たらし揚げ>が通常の1.5倍~2倍に膨らんでいました。
内心
めだか 『めっちゃ膨らんでるやん!笑ける~~~!!!』 でしたが、
天然さんに指導をしたばかりなので笑うに笑えず堪えていました。
笑いに堪えて皆さんの食事の準備を終えランチのスタートです。
いつものように何気なくそばと<たらし揚げ>を口へ放り込みました。
すると!!!
めだか 『<たらし揚げ>いつもより旨いぞ!なんでや???
3枚肉もふかふかして旨い!!!』 と、
内心思っていましたが、天然さんを目の前にして言えず
めだか 『めっちゃうまいぞ!何でや?
それにしてもいつもよりふっくらしてるな~。まだ笑える~』と、思っていたら
お客さんから一言
Sさん 『このかまぼこ凄い美味しいね~。なんていう揚げ物なの?』
素直に答えればいいものの、大人げない僕は
聞こえていない振りをしてしまいました。
なぜなら、天然さんの得意げな顔を見たくないからです。
でも、狭い船内いつまで聞こえていない振りは出来ません。
めだか 『天然さん。圧を掛けるとかまぼこが美味しいようだ。
(認めたくないけど)明日から圧を掛けて食べることにしよう。
(認めたくないけど)三枚肉も美味しいね。
(認めたくないけど)うんうん。美味しい・・・美味しいね』
あき 『そうですね。明日からそうしましょう!』
1年間の積み重ねた天然さが生んだ!
天然ならではの天然技!!
普通に食べるより絶対美味しいです。
最近のコメント